建築パースは内製より外注するのがコスパよし

新築マンションや新築住宅の募集広告では、間取り図などとともに誰にでもわかりやすい立体的な完成予想図が掲載されています。また商業施設や企業の新社屋建築の発表などでも、建築物や内部の完成予想図が示されます。

近年は完成した建物をまわりで眺めているかのような、あるいは内部に居て見回しているような臨場感あふれる動画が公開されることもあります。このように建築物を立体的に表現した図を「建築パース」と呼びます。

建築パースはかつては全て手書きで作成していましたが、現在では平面図や立面図、間取り図などをもとにコンピュータによって作成する「CGパース」が主流です。

CGパースは設計の途中や最終段階で設計図面に忠実な立体図が作成できるので、デザイン検討や最終的なデザイン確認のためにも使用されます。プランニングから最終的な宣伝広告まで建築のあらゆる工程で活用されます。

住宅団地や商業施設などの大規模な開発では、近隣地域や行政との間で地域環境や景観への影響についての検討や説明が不可欠です。このような場面でも、建築パースは周囲を含めた景観や日照の影響などを直感的に把握できて効果的です。

建築パースの作成には手書きパースであれCGパースであれ専門知識と経験が必要です。建築設計の専門家である建築士は、手書きパースを作成するための知識とスキルを持っています。しかし建築設計の専門職が、検討や広告のための建築パースに時間を割くのは効率的とはいえません。

またCGパースの作成のためには3D CGや3D CADのソフトウェアが必要であり、使いこなすためには3D CGの専門知識や経験が必要です。さらに写真との合成のためには映像加工技術も必要です。このようなことから建築パースの作成は、専門のパース制作企業に外注するのが一般的です。

まずは建築パース制作の流れを知って価格相場をつかむ

建築パースをパース制作企業に外注する場合、価格や納期は提供する資料やデータ、要求内容によって大きく変動します。変更が多い建築パース制作では、価格も上昇してしまいます。

建築パース作成を効率的にすすめるためには、建築パース制作フローを理解した上で、適切な時期に適切な情報を提供することが大切です。外注企業を選定して依頼するときには、その企業の制作フローをよく理解して、協力して作業をすすめるようにするべきです。

建築パース制作の価格や納期は、建築物の複雑さだけでなく仕上げ品質や出力数によっても変わります。高精細なデータであればさまざまな用途に利用できますが、価格も高く納期もかかります。

パース制作フローの詳細は企業によって多少違いがありますが、大まかには次のようになります。

依頼受け付け

制作依頼する建築パースについての資料と依頼事項を連絡します。提供する資料は平面図、立面図などの図面と仕様書やスケッチ、さらに必要に応じて現場写真などです。新築建築では依頼時に必要な図面が揃わない場合がありますが、必要な図面の提供時期は打ち合わせで決めていきます。

さらにどのような建築パースが必要であるかを示した仕様書やスケッチなどをできるだけ詳細に示します。使用目的を明示することで、仕上げ品質や使用する素材を最適化することができます。

見積とスケジュール

提供した資料と仕様にもとづいて見積とスケジュールが提出されます。希望と合致しない場合は、仕様や提供資料の見直しをおこないます。作成する建築パースの数や種類を見直したり、パース画像に追加する人物や樹木、家具などの素材を見直したりすることによって納期や価格が変動します。

受注

価格とスケジュール、制作内容で合意すると、契約締結して作業にとりかかります。契約時には使用する素材によっては著作権や肖像権について規定したり、完成した建築パースの用途や使用期限を制約する場合もあります。

3Dモデリング

提供された図面あるいはデータをもとにして、立体図形を作成します。建築図面が全て揃っていればこの作業は比較的容易ですが、図面やデータが完全ではない場合はデータ補完や確認をおこないながらすすめます。3Dモデリングが完成した時点で確認をおこないます。

テクスチャ作成

壁面や屋根、床、天井などの素材にあわせたテクスチャを作成して、建築図としての仕上げをおこないます。このとき作成する建築パースの視点をある程度決めておきます。

提供された素材あるいは手持ちの素材を使って、装飾や調度、エクステリアなどを加えます。外観パースでは街路樹や道路、人物や周辺建築物など、内観パースでは家具や照明器具、装飾品などです。

視点や光源の決定

仕様確認で決められた視点や光源をベースにして、パースを何点か作成して提出します。必要に応じて調整をおこない、最終的な視点と光源の設定を決定して正式に出力します。

最終チェックと納品

3Dモデリング、素材、色調など最終的なイメージを確認して、指定の形式で納品します。最終確認のときに使用した素材などについて、著作権や肖像権の問題がないことも確認します。

出力データの形式などは仕様確認の段階で決めておきます。工程の途中で仕様の変更やデータの変更が生じた場合には価格やスケジュールに影響がでる場合があります。

建築パース価格の相場は?大規模だと高い?

建築パースの作成を外注する場合、価格は対象の建築物の規模や複雑さ、加える素材の種類や数量、仕上がり品質などによって変わります。

パースの対象物が一般的な住宅と高層マンション、商業施設では3Dモデリングの複雑さが変わり、必要な時間や手間が変わります。また図面にはない、建築パースに加える樹木や家具などの素材の種類や数によっても価格は変わります。

光源設定を変えて時間帯を変えたパースを追加したり、視点を変えたパースを追加したりすると追加費用が必要になります。壁面や床材の素材を変えたパースを追加するのも同様です。

使用用途がプレゼンや提案用であれば高精細な画像は必要ではありませんが、広告やコンペに使用する場合は高精細な画像が必要です。出力を高精細にするためには、3Dモデリングもテクスチャ作成などのレンダリングも高精細データが必要となり、高価になります。

さらに提供するデータによっても価格は変動します。平面図や立面図、配置図など必要な図面を全てCADデータで提供できれば最も安価になりますが、印刷図面提供の場合にはデータを入力したり作成する必要があり、価格が上昇し納期もかかります。

データを全てDXFなどのCADデータで提供することを前提とすると、一般的に建築パースを外注するときの価格は次のようになります。

一般的な戸建て住宅などの小規模建築のプレゼン、提案用パースの場合で1点4万円程度からになります。店舗やオフィスの内観パースでは家具や照明器具などの素材が増えるため1点5万円程度からとなります。

商業施設やホテルなどの大規模建築物では1点10万円程度からに価格上昇します。なお大規模建築では内観パースの方が外観パースよりも安価になります。

広告用などの高品質パースではプレゼン、提案用パースに比べて価格は2倍程度に上昇します。つまり一般住宅の外観パースで1点8万円程度から、内観パースで1点10万円程度から、そして大規模建築の外観パースでは1点20万円程度からになります。

視点や光源設定を変えるパースを追加するときには1点あたりの追加費用はもとの費用の80%程度になります。

まとめ

建築パースは建築物を立体的に表現する図であり、多くは専門のパース制作企業に外注して作成します。手書きパースを利用するときもありますが、一般にはCGパースの方が安価で短納期です。

パース作成を外注する場合は、平面図や立面図など必要な図面と仕様書などを提供して、打ち合わせをおこないスケジュールと見積に合意した上で作業にとりかかります。

パース制作企業では提供された図面をもとに3Dモデリングやテクスチャ作成などをおこない、指定された視点や光源設定での建築パースを出力します。

建築パース作成の納期や価格は、建築物の規模や必要なパース数、配置する素材などに依存します。またプレゼン用の仕上げ品質と広告やコンペ用の高精細品質のパースでは価格に大きな開きがあります。

価格を安く、納期を早くするためにはできるだけしっかりした図面をCADデータで渡すとともに、使用目的や視点の指定など仕様を明確にすることが大切です。