CGパースとは

「パース」は建築物や工業製品などを立体的に表現した図であり、住宅や施設、工業製品などの完成形を、だれもが直感的に理解できるように作成されます。

設計者などが手書きで作成するものを「手書きパース」とよび、コンピュータの3D図形処理によって立体図形を作成するものを「CGパース」とよびます。CGパースの作成のためには比較的高性能のPCと、3D CADシステムやパース制作専用ソフト、3DCGソフトなどのソフトウェアツールが必要になります。

利用するソフトウェアは、作成するパースの正確さや、表面処理、あるいはアニメーションなどの要求事項によって適切に選択します。CGパースを作成するためには建築設計や機械設計についての知識に加えて、3DCGについての専門知識とさまざまなソフトウェアツールを使いこなす3DCGでの経験が必要です。

CGパースが使われる場面

CGパースは建築物ばかりでなく、大規模な公共工事から小型の工業製品まで幅広い対象について活用されます。それぞれの対象について初期のプランニング段階から、設計の検証や施工や製造方法の確認、販売まで工程のさまざまな場面で活用されます。

提案あるいは初期プランニング

建築の初期プランニング段階では、外観や内部レイアウト、あるいは工法についての提案やプレゼンの資料にCGパースを用意します。注文建築の提案などではエンドクライアントのニーズを明確にするためにいくつかのプランを用意する場合もあります。

公共工事のような大規模工事では、構造物だけでなく地域全体の景観や工法などを、わかりやすく説明するようなパースが必要であり、手書きパースとならんでCGパースが使用されることもあります。工業製品では外観デザインだけでなく、製品の機能性を訴求するようなCGパースが必要とされます。

設計検討や設計確認

設計の検討段階では関係者間で設計の細部を共有するために、設計情報を反映したCGパースを作成します。施工部門との情報共有ではパーツの組み付けや工法を確認するために、正確なCGパースが必要とされます。

最終的な設計確認の段階では、設計図をもとにして最終的な仕上がりが確認できるCGパースを提出します。施工後のイメージをエンドクライアントと共有することによって、施工後の変更が発生するリスクを少なくすることができます。

大規模な公共事業では施工後の景観図などを地域や行政に提示することによって、工事期間中の周辺への理解を得やすくする効果が期待でき、手書きパースやCGパースを活用します。

販売および広告宣伝

集合住宅や建売住宅の販売、あるいは商業施設のテナント募集においてはCGパースをフルに活用した資料を用意することで、大きな販促効果が期待できます。

CGパース活用のメリット

提案時からCGパースを活用することで、エンドクライアントや営業部門など、建築や設計のプロではない関係者との間で完成イメージを初期段階から共有してプロジェクトをすすめることができます。

CGパースは異なる視点や光源の設定を変えるだけで近景や遠景、そして時間帯の異なるパースを比較的容易に得ることができるので、臨場感のある提案や検討資料とすることができます。

さらに建築物の内装や床、あるいは工業製品の素材や質感を変えることが比較的容易なので、エンドクライアントのニーズや好みに合わせた完成イメージを提供することができます。

設計途上にエンドクライアントや関係者との協議によって設計変更が生じた場合、もとになる設計データを変更することで変更後のパースを比較的容易に得ることができます。変更による影響を短期間で確認することができるので、変更に伴う問題発生のリスクを抑えることができます。

CGパースにはどんな種類があるか

CGパースが対象とするのは建築物ばかりでなく、地域の景観全体を対象する大規模なものから小さな卓上の小物までさまざまなものです。

建築物を対象とするCGパースを「建築パース」、橋梁などのような土木建設プロジェクトを対象とするものを「土木パース」とよびます。また自動車や家電製品、家具や日用品などの工業製品を対象としたものを「プロダクトパース」、インテリアデザインを対象としたものを「インテリアパース」とよびます。

建築パースでは建築物の外観をあらわす「外観パース」や、室内や内部レイアウトを表す「内観パース」があります。土木パースでは構造物の構造とともに、周囲の景観を含めて表現します。

プロダクトパースは、その製品の機能性や外観デザインを表現します。インテリアパースでは室内レイアウトばかりでなく、内装や床、天井の質感や照明効果、家具、装飾品を含めたインテリアデザインを表現します。

建築パース

建築パースは、住宅や公共施設、商業施設などの建築物を対象にしたCGパースです。建築物の完成時の外観を立体的に表現することで、建築物のデザインのポイントをわかりやすく伝えることができます。

周辺の道路や周囲の建築物、歩行者などの人物もパースに含めることによって、建築物のスケール感や周辺への景観の影響なども表現することができます。住宅などでは外壁の仕様や車庫や門扉などの付帯設備の提案を、エンドクライアントにわかりやすく伝えることができます。

土木パース

鉄道駅や高速道路、橋梁やトンネルなどの土木建設工事のパースを土木パースといいます。住宅や店舗などのような建築パースに比較するとスケールが大きく、多くは外壁に覆われない橋脚や柱などの構造物が剥き出しになっています。

柱や高架道路、歩道橋など複雑な構造体を、わかりやすく表現することが重要です。また道路や橋梁などでは周辺地域の景観と、建築される構造物を一体としたパースの作成が必要になります。

周辺の地形を現実的に表現するために、現地の写真やイラストとCGで作成した構造物を合成するなどの手法が用いられます。

一方完成予想図をCGパースや写真合成で作成すると表現がリアルすぎて近隣住民に誤解を与える恐れがあり、あえて手書きパースあるいはイラスト風のパースを活用する場合もあります。

プロダクトパース

工業製品の立体図をプロダクトパースといいます。建築に関わるものでは、椅子や照明器具、テレビや冷蔵庫などの電化製品などがあります。複雑なものでは自動車やバイクなどでも、プロダクトパースが制作されます。

自動車など多くの工業製品は設計に3D CADシステムを使用することが多く、設計検討も立体図を使っておこなわれます。設計検討のためには、可動部分の動作やそれぞれのパーツの組立状態を確認するように、パーツごとに正確な立体図が必要です。

製品の広告やプレゼンではプロダクトパースは使用状態をイメージでき、製品ロゴなどまで入った魅力的な外観デザインを強調するような図が必要とされます。また実際の動作状態を、アニメーションなどで表現することも必要とされます。

インテリアパース など

インテリアパースは、室内の様子をCGパースで作成したものです。住宅や店舗、施設の内部を、内装や必要に応じて調度品を配置して内部にいるような視点で作成します。

床や内壁、天井などの素材感を表現するとともに、椅子やテーブル、システムキッチンなどを配置することによって、完成した住宅や店舗の内部を再現します。

新築の住宅や店舗設計の際に内部レイアウトや内装の検討に活用したり、既存の住宅、店舗のインテリアデザインの検討に活用したりします。また家具や設備の設置例として活用する場合もあります。

訴求する対象物は建築物とはかぎらず、床や内壁などの内装、キッチンやシャワーなどの設置設備、家具などの調度品や装飾品の場合もあります。訴求する対象物によって、CGパースを作成するときの視点や表現方法が変わります。

そのほかにも訴求する対象物によってさまざまなCGパースが作成されます。例えば屋外に設置するような建造物や各種のエクステリアを訴求するためのパースなどです。製品ができあがる前に製品の立体イメージを作成することができるので、マーケティングや企画検討などのためにもCGパースを活用します。

まとめ

CGパースはコンピュータを使った3D CG処理によって、建築や景観、工業製品などを立体的に表現した図です。対象は建築物にとどまらず、大規模な土木建設プロジェクトから自動車や家電製品、家具などの工業製品などにもおよびます。

CGパースを利用することによって、設計、建築のプロではない全ての関係者を含めて、プランニングの段階からプロジェクトの完成イメージを共有しながら作業をすすめることができます。CGパースでは表面の質感や光源、家具などを自由に配置でき、変更した結果も短時間で確認することができます。