CIMとはどんなもの

CIM(Construction Information Modeling)は、土木業務において全面的にICTを活用して業務効率化を目指す取り組みです。具体的には設計段階から建設対象を3Dモデルで取り扱い、属性情報や関連情報を含めて一元的に管理します。

情報を関係者間で共有し連携することで、業務の無駄を省いて効率的な工事運営を可能にします。建築分野で広まりつつあるBIMの概念を土木分野に焦点をあてて構築したもので、日本では国土交通省が主体となって推進しています。

CIMの特徴と歴史

CIMのもとになった建築分野の取り組みであるBIMは、平成16年ころからアメリカで盛んに議論されるようになりました。平成23年には米國の雑誌でCivil Integrated Managementの略としてCIMを提案紹介しています。

日本では平成24年に国土交通省の佐藤直良氏が提唱し、国土交通省での試行がはじまりました。それまで土木分野では建設 CALS/ECを推進していましたが、こちらは情報の標準化に注力した取り組みで情報の活用の取り組みが不足していました。

CIMは情報を活用して効果をあげることに注力した取り組みであり、業務効率化の具体的な目的が明確である点が特徴です。CIMは建築分野の取り組みであるBIMと方向性は似通っていますが、土木業務を対象とすることから複数の工区と長期的な工期という概念が加わります。

CIM導入のメリットと導入課題

建築業界と同様に土木業界においても、人材不足は深刻な問題となっています。人材育成とともに業務効率化は喫緊の課題であり、CIMはその解決策として注目されています。

業務効率化を目指しているCIMは、数多くのメリットがありますが課題もあります。CIM導入にあたっては、その課題をしっかり把握したうえで取り組むことが大切です。

CIM導入のメリット

土木事業は一般的な建築業務に比べると関係者が幅広く、直接対象施設の建設に携わる企業や人ばかりでなく地権者や近隣住民、地域の自治体などにも及びます。全ての関係者の理解と協力を得るためには、施設の計画段階からわかりやすく説明することが重要です。

CIMを導入することによって計画の初期段階から3Dモデルを使用するので、近隣住民などへの説明資料も比較的容易に作成できます。土木事業は建築事業に比べて工事期間が長く、また設計変更や工程変更の発生も多くなりがちです。

建築業務が整地された敷地への対象建築物の建設に注力できるのに対して、土木業務は現況地形に対して対象施設を建設することで、予想外の事象に遭遇することが多いためです。

このようなときCIMを導入していると関係者間で最新の情報を共有できるため、工程や設計の変更など不測の事態に対して、全ての関係者が迅速にかつ連携して対処することができるようになります。

CIMでは設計情報だけでなく関連する情報を一元的に管理しているため、積算処理や帳票作成などの単純作業から技術者を解放することができます。

CIM導入における課題

土木業務の効率化のためにメリットが多いCIMですが、実際に業務効率化を達成するためにはシステムを使いこなすことが大切です。3Dモデルに付随して一元管理されている情報をしっかり活用しなければ、資材や機材を効率的に運用することはできません。

工程情報や設計情報が常に更新されていても、関係者の一部が情報を共有していなければ、全体の工程進捗や資材管理に影響してメリットを享受することができません。

CIMを効率的に運用するためには、事業にかかわる全ての事業者がCIMを使いこなせる人材を育成しなければなりません。さらにCIMを使いこなすためには関連する事業者が同一の手順に従うことが必要であり、このためのマニュアル整備が必要です。

CIMでは設計データをはじめとして情報を一元管理します。CIMを利用する関係事業者の間でデータフォーマットを統一するか、あるいは各事業者でデータ変換をおこなう必要が生じます。このときデータ変換の不具合があると情報伝達ミスが発生します。

CIMを活用しようとする事業者はCIMのシステムを導入、構築しなければなりません。このための初期投資は事業規模にかかわらず必要になります。

おすすめのCIMソフト

建築設計用のCADシステムの多くが業務効率化のためのBIMへの対応をおこなっています。土木事業においてもBIM対応ソフトの多くの機能が、共通に使用することができます。特に建設対象施設の建設業務についての機能は、BIM対応のシステムでかなりの部分がカバーできます。

しかし業務が対象建築物の建設に限定される建築業務と異なり、土木業務では現況の地形をもとに建設計画を立案する必要があります。このためCIMシステムでは、ベースとなる3Dモデリングにおいて建設対象施設だけでなく周辺の現況地形も含めておこなう必要があります。

Civil 3D

「Civil 3D」は建築設計あるいは機械設計CADとして定評のあるAutodeskをベースとした、土木・測量分野向けの3D設計ソフトウェアです。3次元の地形モデルや線形構造物の設計、そして土量計算などのCIM向けの機能を搭載しています。

Autodeskのモデルベース設計コンセプトを継承しているので、3次元モデルと2次元の図面が連携しています。どこか1箇所を変更すると全体の図面やモデルが連動して変更されるので、設計ミスの低減につながります。

国土地理院の基盤地図情報や現地の測量情報などのデータをもとに施工箇所の3次元地形モデルの作成が可能なので、構造検討や施工検討に威力を発揮します。

3DCAD Studio

土木専用の3D CADエンジンを採用した3D モデリングソフトウェアが株式会社フォーラムエイトの「3DCAD Studio」です。関西大学を中心に開発をすすめた純国産のCADエンジンを利用し、土木向けに必要な機能に特化した計算処理をライブラリ化しています。

データ構造はISO10303に準拠しているので、連携するほかのツールとのデータ交換を容易におこなうことができます。

TREND-CORE

福井県に本拠を置く福井コンピュータ株式会社が開発、販売するCIMソフトウェアが「TREND-CORE」です。発注図を取り込んで、2D CADの操作感覚で3Dモデルを容易に作成することが可能です。

レーザースキャナーの点群データから、現況地形の3Dモデルを作成することができます。さらに現況モデルから道路形状を整地するための切土、盛り土の形状をリアルタイムに生成するなど、土木工事計画に特化した機能を豊富に盛り込んでいます。

土木専用の3D部品を豊富に用意しているので、わかりやすく効果的な施工手順や進捗図を容易に作成することができます。

3D地図データ

CIMの重要な機能の一つとしてプレゼンテーションがあります。土木事業では土木の専門家ばかりでなく、周辺住民や地権者など専門知識を持たない数多くの関係者が存在しています。

関係者の理解を得ながら工程をすすめるためには、事業の計画から完成までの間、計画や現況をわかりやすく伝えることが重要です。わかりやすいプレゼンテーションのためには、対象施設だけでなく現地の正確な地形を含めて景観への影響を示すことが効果的です。

ゼンリンの「3D地図データ」を活用することで、対象施設に周辺環境を加えて計画意図をわかりやすく伝えることができます。3D地図データを利用することで、手作業で周辺環境をモデル化する手間を大幅に削減することが可能になります。

まとめ

CIMは建築分野で広まりつつまるBIMを土木分野に焦点をあてて開発、推進している取り組みで、国土交通省を主体に推進しています。

工事の対象を計画段階から3Dモデルとして取り扱い、属性情報に工程やコストなどを含めた関連情報を一元的に管理して、関係者で共有して連携する取り組みです。実施する概念はBIMと共通ですが、自然環境を対象とする土木工事ならではのツールや機能が盛り込まれています。

建築工事に比べると土木工事は規模が大きく、数多くの関係者が存在するので、CIMの取り組みによる大幅な業務効率化が期待できます。ソフトウェアツールとしては3D CADシステムや、点群データから現況地形を3Dモデル化するもの、そして3次元の地図データなどがあります。